どこのイブニングバラエティだったか、
ホワイトデーにほしいお返しというアンケートで、
何万もするブランドバッグじゃジュエリーじゃという
ふざけんなな高額リピートが居並ぶ中。
クッキーとかチョコレートとかマシュマロとか、
定番というかオーソドックスというか、
そういう可愛らしい“お返し”も奮闘していたのが、
何だか印象的だった。
“まあ こういうクチは、
既に熱愛関係になってて、
一緒に居られるだけで しやわせvvとか
能天気なことゆってる奴なんだろーけどよ。”
今日は朝からなかなかの善いお日和で。
いわゆる気温は低かったけれど、
雲の少ない淡色の空をぴっかぴかに照らす、
力強い陽の光に恵まれたせいか、
陽だまりにいると肩や背中がじんわりと温もり、
上着をついつい脱ぎたくなったほど。
そんな春めきにおおわれた“ホワイトデー”になろうとは、
不慣れな男衆にはなかなか読めなかったに違いなく。
“だよなぁ。”
フツーはそれで当たり前じゃんかよなと、
多少の暖かさじゃあ溶けないぞコーティングされた、
マーブルタイプのチョコ(カカオ含有率60%、ビターフレーバ)を
聖バレンタインデーにもらったチョコのお返しだと
スマホのカバーにくっつかない内装を施した、
特別仕様のケースに入れて“ほれvv”と
朝っぱらから坊やへくれたお父様の周到さに。
女にここまでマメだってんなら、褒められはしないが あるあるな話。
“なんで息子にここまでするかね。”
しかも、自分がパパへあげたのは、
本命様へと渡したブラウニー、チョコ風味ケーキの試し焼き。
ちょっぴりブランデーを入れ過ぎたんで、
そか、ここは反省すべきだなとの、
訂正の役には立ったが、自分が食べる訳にもいかなんだのでと、
一応はリボンをかけての“どうぞ”と進呈した代物だったのになと。
裏側のカメラレンズのところが蓋になってるポッチ、
ぱちりと押してしゃかしゃか振ると、
ミントキャンディみたいに、1粒振り出し、
彼には丁度いい風味のチョコをぱくりと堪能してから。
“問題はこっちだよな。”
バイクに乗って来たらエンジン音で ばればれだからだろう、
歩いてやって来て郵便受けへと入れてったらしい、
今回は珍しく知恵の回った誰かさん。
今日の本日は、父上主催の講演会の助っ人、
荷物運びのバイトに駆り出されておいでで。
本来そんな雑用は、
それこそ支援者だの後援会だのの息が掛かった
若い衆がすることながら、
おや この坊ちゃんはもしやして、ええウチの愚息ですのよという
わざとらしい形での顔つなぎがそろそろ必要になる時期だけに。
ままそれは仕方がないと、
そういう段取り自体にはこっちも納得していたのだけれど。
「東南向きの玄関の郵便受けへ、しかも午前中に、
こういう溶けやすいものを入れてくかねぇ。」
誰かさんなりに、
知恵もセンスも伝手も頑張って繰り出したらしい、
コルトガバメント、実弾つき
(双方ともセミスィートチョコ仕上げ)だったのだが。
小さな郵便受けの内部は、朝日を浴びて結構な温度になっており、
精巧なディテールだったらしいのが、
せっかくの輪郭から角を奪っての、ほのかに丸くされていて。
「これじゃあ、アニメタッチのガバメントだよな。」
朝刊を取りにと出た母が、
早めに回収してくれたのでそれで済んだものの。
そして、結構器用な坊やの手にかかれば、
リアルな元通りの型への修復も
さほど難しいことじゃあないものの。
「さてとて どうするか、だな。」
修復は勿論のこと、食べるという方向でも、
まだ手はつけていない、甘い凶器を机の上へと見下ろして。
小さなお手々で、結構 様になってる角度にて、
何とも麗しい頬杖をついたまま、
自身の腹積もり、こそりと口にした子悪魔さん。
この現状を突きつけて、
あのトカゲの兄ちゃんを凹ませるのは簡単だけれど。
ここまで頑張ったのはあの野暮天にしては偉いと思うし、
詰めが甘いのは、むしろ彼らしい可愛げだ…なんて、
ついつい思ってしまいもし。
小さな白い手がふわりとくるんだすべらかな頬が、
それこそ甘い甘い何かを頬張ったかのように、
柔らかくほころんだ、ホワイトデーの昼下がり。
チョコレートが溶けるほどの、
ああ もう春なんですよねぇ…。
〜Fine〜 12.03.14.
*ホワイトデーだったんですよね。
そして、桜庭くんのBDも2日前に過ぎており……。
まさかとは思いますが
もしかして待っててくださった方がいらしたなら、
本当にすみませんでした。
ネタがあるないとか、何か事情があったとか言うんじゃなくの、
真剣本気でぽこーっと忘れておりました。(サイテー)
今日の暦に気がついて、
まずは“妖一くん、甘いもの苦手だしなぁ”と、
そうと言い訳しかかった怠け者。
昨年は桜の宮様のお話をちゃんと書いたのに、
何で今年は忘れているかな…。
どこかで穴埋めしますね、
おじいさま譲りでちょっぴりタヌキなあなたも好きですvv
「つか、それはここのシリーズの奴じゃあなかろうがっ 」
「まあまあまあ………。」
めーるふぉーむvv

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